こんな悩みを解決できる記事になっています!
これから解説する『市役所職員への転職を成功させるポイント』を読めば、公務員行政職へ転職する具体的な対策が見えてきます。
「市役所に転職したいけど、どう行動したらいいか分からない」というあなたの疑問を解消することができますよ。
記事前半では「教員から市役所職員の転職する方法」を、後半では「具体的な試験対策」についてかなり具体的に解説します。
実際に教員から市役所職員に転職した元同僚の話をふまえて徹底的に解説しますので、じっくり読み込んでくださいね!
この記事の信頼性
現役市役所職員2名にインタビューしました!
中学校国語教員として7年勤めたあと、社会人経験者枠で政令指定都市の区役所に転職。現在は教育委員会事務局にて勤務。
小学校教員として4年勤めたあと、一般受験で地元(地方都市)の市役所に転職。福祉課、観光課を経験し、現在は水道局にて勤務。
実際に市役所で働いている人の声をもとに、情報を整理してお伝えします!
教員の離職者数が過去最多
読売新聞オンラインの記事に書かれている、2021年度に離職した教員数のデータをまとめました。
文科省が公表した学校教員統計調査の調査結果がもとになっています。
- 公立小学校 14,973人
- 公立中学校 8,448人
- 公立高校 5,580人
離職の理由と割合は以下の通りです。
- 定年退職 53%
- 転職 14%
- 家庭の事情 13%
- 病気 9%
- 死亡 1%
- 職務上の問題 1%
- 大学等入学 1%
- その他 13%
概算ですが、このような結果になっています。
定年退職の割合が半数を超えていますが、次に多いのは転職を理由にした退職。
つまり、家庭の事情や病気(精神疾患)などのやむを得ない理由ではなく、新たな挑戦をするために教員を退職している人が多いということです。
私の周りでも転職を理由に教員を辞めた教員はたくさんいますが、市役所職員に転職する人も一定数います。
実例をもとに、教員から行政職への転職についてお話していきますね。
教員から市役所職員への転職は可能なのか
市役所職員になるためには、自治体が行う公務員試験に合格することが必要ですが、応募時の資格やスキル、職務経歴に制限はなく、受験条件を満たしていれば誰でも受験できるからです。
この画像は、東京都特別区(23区)の令和6年度採用試験の応募資格の一部を切り取ったものです。
特別区人事委員会HPより引用
つまり、日本国籍であることと、年齢条件を満たした状態で採用試験を受験し合格すれば、誰でも市役所職員になることができます!
平成5年より前に生まれた私は受験資格がない…市役所職員になれないの?
安心してください!社会人経験が長い人は、一般の公務員試験を受けるのではなく、「社会人経験者採用枠」で受験できますよ。
この画像は、東京都特別区(23区)の令和5年度社会人経験者採用試験の応募資格の一部を切り取ったものです。(令和6年度のものは本記事執筆時点では公開されていませんでした。)
特別区人事委員会HPより引用
まとめると、
- 昭和32年4月2日以降に生まれた人(2024年で67歳)
- 活字(ひらがな・カタカナ・漢字交じりの問題文)を理解できる人
- 日本国籍を有する人
- 現在特別区の職員でない人(特別区の教員は受験できる)
- 直近10年で4年以上の社会人経験がある人
例えば、
公立の小学校で10年教員をやった32歳のあや(日本国籍)は、特別区社会人経験者採用枠で受験可能ということです。
今回は例として、東京都特別区の受験資格についてまとめました。
教員として4年以上働いた経験があれば、受験資格を満たすのはわりと簡単ですよ。あとは、試験対策をしっかり行いましょう!
あなたが受験したい自治体のHPでも社会人経験者採用についての情報が公開されると思うので、確認してみてくださいね。
教員から市役所職員に転職する期限
教員から市役所職員に転職する期限は以下の通りです。
- 一般公務員としての受験であれば、30歳
- 社会人経験者採用での受験であれば、67歳
教員を4年以上やっていれば社会人経験者採用枠で受験ができます。ほとんどの人は期限を気にすることなく受験できますよ。
教員から市役所職員に転職する方法
教員から市役所職員に転職する方法は以下の3つです。
- 一般的な「公務員試験」に合格する
- 社会人経験者採用枠で合格する
- 臨時採用枠で合格する
それぞれ詳しく説明しますね!
今回は、東京都特別区の社会人経験者採用試験についての情報をもとにまとめました。
一般的な「公務員試験」に合格する
一般的な「公務員試験」で市役所職員に転職する手順は以下の通りです。
- 応募(願書提出)
- 一次試験(筆記)
- 二次試験(面接)
- 最終合格発表
- 入庁
東京都特別区だと、二次試験の面接後に、配属の区と部署を決めるための面接があるなど、自治体によって細かい違いはありますが、ほとんどこの流れだと思っておいてください。
応募資格
- 日本国籍を有する
- 30歳以下
試験内容
- 一般教養
- 専門教養
- 論文
- 面接
試験難易度
- 地方上級(大卒程度)
下の画像は総務省は発表した「競争試験における受験者数、合格者数、採用者数、競争率の推移」の一部を抜粋したものです。
総務省HPより引用
令和4年度の市区の倍率は6.2倍となっており、都道府県(4.2倍)、町村(4.5倍)の倍率と比べても人気であることが分かります。
試験のレベルは大卒程度であることと、試験倍率が6.2倍であることを考えると、
社会人経験者採用枠で合格する
社会人経験者特別選考で合格する手順は以下の通りです。
- 応募(願書提出)
- 一次試験(筆記)
- 二次試験(面接)
- 最終合格発表
- 入庁
応募資格
- 日本国籍を有する
- 67歳以下
- 活字を理解できる人
- 現在特別区の職員でない人(特別区の教員は受験可)
- 直近10年で4年以上の社会人経験がある人
試験内容
- 教養
- 職務経験論文
- 課題式論文試験
- 口述試験(面接)
試験難易度
- 地方初級(高卒程度)
下の画像は、特別区人事委員会が公表した、令和5年度の東京都特別区社会人経験者採用試験の倍率です。
特別区人事委員会HPより引用
令和5年度の一般事務の倍率は4.0倍となっています。
試験のレベルが高卒程度であることと、試験倍率が4.0倍であることを考えると、
社会人経験者採用枠は、社会人として様々な経験を積んできた人が受験するため、出願者のレベルがそもそも高いことが多いです。
そのため、単純な数値(倍率)だけで難易度を判断することはできませんが、目安として覚えておいてくださいね。
臨時採用枠で合格する
産休の代替や、正規職員に欠員が出た場合、不定期で採用情報が出る場合があります。
臨時採用枠で合格する手順は以下の通りです。
- 書類提出
- 一次選考(書類審査)
- 二次選考(面接)
- 合格
応募資格
- 要項参照
試験内容
- 書類選考
- 面接
試験難易度
- データなし
筆記試験がないのが特徴ですね。
いつも募集しているわけではないので、希望の自治体のHPを定期的に確認するようにしましょう!
教員は臨時的任用職員の募集をいつもやっていますよね…
教員から市役所職員へ転職するメリット
働きに見合った給料をもらえる
働いた分だけの給料をもらえるのが、市役所職員に転職するメリットの一つと言えます。
市役所職員は残業代が支給されるからです。
教員の方が、教職調整額などの特別手当をもらえる分、給料多いんじゃないの?
調整額は数千~数万円に過ぎません。
さらに、どれだけ残業しても残業代が出ません。
確かに、教職調整額などの教職特別手当はもらえます。
中央教育審議会が公開している「教員の手当一覧」によると、教職調整額の他にも、教員には複数の手当が支給されることが分かります。
中央教育審議会HPより引用(一部抜粋)
しかし、その額は基本給の数%であり、実際の金額は基本給が30万円の人でも3万円未満です。
- 残業代が支給されない代わりに月3万円もらえる教員
- 月3万円支給されない代わりに残業した分だけ残業代もらえる市役所職員
働きに見合った給料がもらえるのは、教員より市役所職員と言えるでしょう。
基本的には定時内勤務
市役所の職員は基本的に9時から17時の勤務です。
残業がないわけではありませんが、残業した場合は残業代が出ます。
災害時の避難所設置や運営などで特別な勤務をした場合、特別手当も出ます。
法外な長時間労働と残業代ゼロの教員からしたら天国ですよ。
クレーム対応を一人で抱え込まなくてよい
クレーム対応を一人でする必要はありません。窓口には必ず他の職員もいるからです。
市役所職員の話
クレームは窓口にいる職員が対応しますが、窓口でもめていたら複数で対応します。
もめていたら応援部隊が来る?
上司が応援に行って部下を助けるけど、知らんぷりする上司もいます。
教員の場合は、保護者が担任にクレームを入れることがほとんどです。
つまり、クレーム対応は担任が一人でおこなわなければならないのです。
周りが助けてくれる場合もあるでしょうが、私は助けてもらえませんでした。
それに、その場はうまく切り抜けられたとしても、その保護者を一年間対応するのは担任です。
公務員のメリットを最大限受けられる
公務員のメリットを最大限受けられるのが、市役所職員をおすすめするポイントです。
- クビになる心配がない
- 収入が安定している
- 充実した福利厚生
- ワークライフバランスを実現しやすい
- 基本的には定時内勤務
教員の場合、これらのメリットを受けられない場合もありますよね。
特に、定時内勤務とワークライフバランスからはかけ離れています。
福利厚生面でも、
子どもが生まれたので、一か月育休を取ります。
子どもが生まれたけど休めないので、妻に非常勤講師になってもらいました。
どちらも実話ですよ。
教員と比べた時に、市役所職員がいかに恵まれているかわかりますね。
教員から市役所職員へ転職するデメリット
子どもと関われなくなる
教員を辞めると当然、授業や子どもと関わる全ての業務ができなくなります。
これは教員を辞める大きなデメリットになるのではないでしょうか。
私の周りでも、授業をするのが嫌で教員を辞めた人はほとんどいません。
もともと教員を目指すくらいですから
- 教えることが好き
- 勉強が好き
- 子どもの「分かった!」を見るのが好き
と思っている人は多いでしょう。
多くの人は過重労働、ブラックな労働環境が原因で辞めていきます。
逆に子どもを見るのすら嫌になっている人にとってはメリットになるかも知れないですね。
異動で勉強し直す必要がある
市役所は部署ごとに仕事内容が全く異なるからです。
横浜市の組織図を見てみましょう。
横浜市HPより引用
このように、かなり細分化しています。
これだけたくさんの部署があれば、どこに異動するか見当もつきませんよね。
異動はつらい?
事務しかしない部署ならいいんだけど、専門的な知識を求められる部署は知識を習得するまでに時間がかかる。知識を習得するのも、仕事をしながらだから慣れるまで負担は多いよ。
例えば、観光課にいたのに次の年から水道局へ異動などもあり得るのです。
市役所の職員は、どの部署に異動になるか分かりません。
教員は、担任する学年は毎年変わりますが、業務内容自体は同じですよね。
教員から市役所職員へ転職を成功させるポイント
今回は数年教員を経験した後で市役所職員に転職する場合を想定しています。
つまり、社会人経験者採用枠で受験する場合です。
書類でアピールする
履歴書や職務経歴書などの書類は絶対に手を抜いてはいけません!
だからです。
履歴書は、今までの学歴や職歴を書く書類なので特に特別な対策は必要ありませんが、
職務経歴書は力を入れて作り込む必要があります。
教員としての経験がどのように活かせるか、具体的な事例を交えて書くようにしましょう。
履歴書や職務経歴書の書き方と実際に私が書いた文例はこちらの記事で解説しています。
筆記試験は過去問を解きまくる
筆記試験対策は、過去問を解いて、間違えた問題をやり直すという方法でよいでしょう。
最も効果が高く、効率のよいやり方だからです。
教員は忙しいので、問題集を一から勉強し直すのは不可能です。
それに、教員採用試験の教養試験と変わらない試験なので、やってみるとすぐに思い出せるでしょう。
試験科目は以下の通りです。
- 教養試験
- 専門試験
- 論文
教養試験・専門試験
東京都特別区(23区)の採用試験では、4年分の過去問も公開されています。
ただ、ここで注意したいのは
- 問題の難易度が分からない
- 経験者採用試験の過去問が公開されていない
じゃあ、どう対策したらいいの?
結論、
上記の過去問は1類(大卒程度)採用試験の過去問です。
経験者採用は、勉強時間が限られている社会人向けの試験なので、高卒程度の公務員試験(地方初級試験)と同じ難易度なのです。
つまり、公開されている過去問を解きながらも、「高卒程度の過去問」の問題集を買えば十分対応できるということです。
参考にしてくださいね。
論文
過去問を見てみましょう。
東京都特別区社会人経験者採用試験の論文課題
職務経験論文問題
ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた職場での取組について、あなたのこれまでの職務経験を簡潔に述べてから、その経験を踏まえて採用区分※における立場として論じてください。
※ 採用区分とは、 1 級職は係員の業務を行う職、 2 級職(主任)は係長職への昇任を前提とした係長職を補佐する職、 3 級職(係長級)は係長、担当係長、主査又はこれに相当する職とする。
※回答時間は90分
※字数は1200~1500字程度
課題式論文問題
2 題中 1 題を選択すること。
1 図書館機能の充実について
2 これからのイベント実施のあり方について
※選択した課題の題名を、論文用紙の題名欄に、必ず正確に記入すること。
※回答時間は90分
※字数は1200~1500字程度
ICT論文問題
デジタル技術を活用した新たな行政サービスの実現について、あなたのこれまでの職務経験を簡潔に述べてから、その経験と専門知識を踏まえて採用区分※における立場として論じてください。
※ 採用区分とは、 1 級職は係員の業務を行う職、 2 級職(主任)は係長職への昇任を前提とした係長職を補佐する職、 3 級職(係長級)は係長、担当係長、主査又はこれに相当する職とする。
※回答時間は90分
※字数は1200~1500字程度
- これまでの職務経験を簡潔に述べる
- 経験を踏まえて書く
- 希望の採用区分の立場で書く
- 90分で書く
- 1500字程度でまとめる
問題文に沿った論文であることは絶対条件です!
職務経験を述べていなかったり、1000字未満しか書けない場合、合格は難しいでしょう。
問題文をよく読んで、出題者の意図を考えて書くようにしましょう。
今回ご紹介した論文問題を実際に書いてみるのも有効ですよ!
面接対策をする
面接対策は必ず行いましょう。
自治体が正確な数字を公開しているわけではありあせんが、私の周りで社会人経験者採用試験に合格した人は、面接対策にめちゃくちゃ力を入れていました。
具体的にはどんな対策をしたらいいの?
よく聞かれる質問に対して、自分の経歴や経験を踏まえながら語れるようにしておきましょう。
面接では、職務経歴書に沿って質問されます。
職務経歴書と実際に話す内容に矛盾があると、一貫性がないと判断されてしまうため、職務経歴書の内容を確認したうえで、以下の質問に答えられるよう対策しておきましょう。
- 志望理由
- その自治体を志望する理由
- 現在までの職務経歴を簡単に
- 現職でのポジション
- 今までの職務で一番大変だったこと
- 転職を考えたきっかけ・理由
- 仕事でトラブルが起きたときの対処法
- 転職活動状況(併願している自治体・企業など)
- その自治体の魅力
- その自治体の課題と解決策
面接の雰囲気は?圧迫面接なの?
最近の面接で圧迫はほとんどありません。むしろ和やかな雰囲気づくりをしてくれます。
某政令指定都市の社会人経験者採用試験に合格したAさんに、面接の雰囲気を聞いてみました!
面接官は女性でした。近所のおばちゃんと話しているような和やかな雰囲気で、緊張せずに答えられましたよ。準備していた内容もほとんど聞かれず、世間話で終わりました。
面接官にもよると思いますが、二次試験に進んだ時点で、合格率はかなり高いのかも知れません!
しっかり対策して、「面接官との会話を楽しむ」くらいの気持ちで挑みましょう。
それでも不安な人は、社会人経験者採用試験対策専門の予備校に通ってみるとよいでしょう。
質問に対する回答内容の添削や、模擬面接もやってもらえるので、自信をもって面接当日を迎えられますよ。
転職エージェントのアドバイスを受ける
プロのアドバイスを受けることも有効です。
自分で考えるより適切なアドバイスをもらえるからです。
転職エージェントは転職のプロなので、使わない手はないでしょう!
お金を払わなくても、転職サイトに登録していれば無料でカウンセリングをしてもらえます。
私はdodaの無料キャリアカウンセリングを受けました。
dodaのカウンセリングでは、事前にアンケートに回答する必要がありました。事前アンケートで「公務員志望」「社会人経験者採用希望」など書いておけば、当日希望に沿った内容でカウンセリングをしてもらえますよ。
一人ですべて抱え込まず、必要に応じでプロの話を聞くことも大切です。
まとめ
- 必要な対策をとれば、教員から市役所職員へ転職できる
- メリットだけでなく、デメリットを理解したうえで転職を決めよう
- 論文と面接は特にしっかり対策しよう
ポイントを押さえてしっかり対策すれば、教員から市役所職員への転職は可能です。
ぜひ挑戦してみてくださいね!
公務員以外で、教員からの転職におすすめな職種はこちらの記事で紹介しています。