2024年最新「教師のバトン」炎上に見る教員の労働問題を元小学校教員が解説

X(旧Twitter)で大炎上した「教師のバトン」プロジェクト。

どのような効果があったのか、学校の未来はどうなっていくのかを、2024年の最新の現状を踏まえ、元小学校教員が解説します。

教員の転職・副業応援団
目次

「#教師のバトン」とは何か?

「#教師のバトン」プロジェクトとは、教育現場のリアルな声を集め、教員の働きやすさ向上を目指すプロジェクトです。

文科省が教員の確保を目的に、「教員ってこんなに素晴らしい仕事だよ!みんな、教職を目指そう!」ということをアピールするため、X(旧Twitter)などのSNSを使って行われました。

2021年3月26日から始まり、2024年現在も、多くの投稿が集まっています。

文科省のホームページには、「#教師のバトン」プロジェクトの概要について以下のように説明されています。

「#教師のバトン」プロジェクト概要

令和の日本型学校教育を実現していくため、時代の変化に応じた質の高い教師を確保するためには、より一層の働き方改革の推進や処遇の在り方の検討を進めることに加え、教職を目指す学生や社会人の方に、現職の教師が前向きに取り組んでいる姿を知ってもらうことが重要です。

そこで、令和3年2月に公表した「『令和の日本型教育』を担う教師の人材確保・質向上プラン」を踏まえ、このたび「#教師のバトン」プロジェクトを新たに開始いたします。

(参考)「『令和の日本型学校教育』を担う教師の人材確保・質向上プラン」(抜粋)

教職の魅力を上げ、教師を目指す人を増やす。

◆教職の魅力の向上に向けた 広報の充実 (令和2年度以降検討・実施)

発信力の高い者による広報や教職の魅力向上の機運を高めるためのサイトの設置等により、広報の充実を図る。

本プロジェクトは、学校での働き方改革による職場環境の改善やICTの効果的な活用、新しい教育実践など、学校現場で進行中の様々な改革事例やエピソードについて、現場の教師や保護者等がTwitter等のSNSで投稿いただくことにより、全国の学校現場の取組や、日々の教育活動における教師の思いを社会に広く知っていただくとともに、教職を目指す学生・社会人の方々の準備に役立てていただく取組です。

「#教師のバトン」のハッシュタグをつけた投稿をTwitterや特設フォームにて募集し、プロジェクト公式Twitter等のSNSで発信します。

あなたの学校や地域の教師の取組を遠く離れた教師に、ベテラン教師から若い教師に、現職の教師から教師を目指す学生や社会人に、学校の未来に向けてバトンをつなぐためのプロジェクトです。

教師や教師を目指す方のみならず、児童生徒や保護者、地域の方々の皆さんからの投稿、プロジェクトチーム一同、心よりお待ちしております。

まとめると、

教師のバトンプロジェクトのポイント
  • 質の高い教師を確保する
  • 教職の魅力をアピールして、教職を目指す人を増やす
  • 教育現場の声をTwitterなどのSNSで発信してもらう
  • 「#教師のバトン」のハッシュタグ
  • 学校の未来に向けてバトンをつなぐためのプロジェクト

「#教師のバトン」炎上の原因

文科省が教職の魅力をアピールするために始めた「教師のバトン」プロジェクトですが、文科省が期待する結果にはなりませんでした。

「#教師のバトン」が炎上した原因

教職の魅力をアピールすることが目的だったにも関わらず、現場の教員たちの悲痛な声がたくさん投稿されました。

論より証拠ということで、実際のXの投稿をいくつか紹介します。

このような投稿に対し、プロジェクトの公式アカウントからの投稿が「教員が頑張れば現場はよくなる」というニュアンスを含んでいたため、教員たちの反発をまねき、さらに炎上。

また、当時の萩生田文部科学大臣の発言が、現場の先生たちをヒートアップさせる結果に。

文部科学省は「もう少し品のいい書き方を」とコメントし、教員の実態を軽視していると批判されました。

このように、配慮の欠けた発言が大きな反響を呼び、プロジェクト全体が炎上する事態となりました。

FNNプライムオンラインの記事によると、萩生田部科学大臣は、教師のバトンプロジェクトで現場の教員から寄せられた悲痛な叫びに対し、「ただちに現状を確認し、改善につなげたい」と話しています。

出典:FNNプライムオンライン『「#教師のバトン」萩生田文科相に真の狙いと覚悟を聞く

炎上の原因は、教員の現実と公式の発信内容とのギャップにあります。

教員たちは過酷な労働環境を改善するために声を上げていますが、その声が正しく理解されず、表面的な対策が行われることに不満をもっています。

多くの教員が労働環境を改善する具体的な施策がとられていないと感じ、プロジェクトに失望しています。

萩生田部科学大臣はが「ただちに現状を確認し、改善につなげたい」と発言したのが2021年4月2日。3年経った今でも、現場からは不満の声が投稿され続けています。

あや

定額働かせ放題って、3年前も同じでしたよね。文科省さん…

SNSやメディアでの反応

「教師のバトン」の炎上は、SNSやメディアで大きな話題となりました。

多くの教員や教育関係者、芸能人がSNSで意見を発信し、メディアも問題を取り上げることで、炎上がさらに拡大しました。

SNSやメディアの影響力が炎上を拡大し、社会全体で大きな関心ごとになったのです。

「#教師のバトン」炎上が示す教育現場の実態

教員の労働環境と課題

「#教師のバトン」の炎上は、教員の労働環境がどれだけ過酷であるか世間に知らしめる結果になりました。

多くの教員は長時間労働やストレスに苦しんでいます。こんな状況では、「質の高い教育」なんて夢のまた夢ですよね。

長時間労働や多すぎる業務はもはや当たり前で、教員は疲れ切ってしまっています。

教員の労働環境の改善は、待ったなしのところまできていますし、具体的な対策が必要です。

教育現場における社会的認識のギャップ

教育現場と社会の認識のギャップが、炎上の根底にある問題です。

社会は教員の仕事を「楽で安定している」と誤解していることが多く、実際の過酷な労働環境が理解されていません。

実際に教育現場で働いている私たちからしたら、とんでもないですよね。

あや

実際には非常に過酷な状況です。

私は10年間続けた教員と言う仕事を辞めましたが、元同僚や現場でがんばる先生たちが少しでもいい環境で働けるように、微力ながら活動しています。

教員の声が反映されない現状

教員の声が政策に反映されていない現状が、炎上を引き起こした一因です。

教員たちは現場の改善を求めていますが、現実にはその声が文科省に全く届いていません。

あや

いや、無視しているだけなのかも…

「#教師のバトン」炎上後の影響

教育政策への影響

教師のバトンの炎上は、教育政策にも影響を与える可能性があります。

教員の声が社会的に注目されることで、政府や自治体が新たな施策を考えてくれるかも知れません。

実際に、炎上後に文科省や教育委員会が教員の労働環境改善に向けた取り組みを強化する動きが見られました。

たとえば、文科省「教師を取り巻く環境整備について緊急的に取り組むべき施策(提言)」によると、教員の労働環境改善の取り組みとして、以下のような具体策をあげています。

取組の具体策
  • 小学校高学年の教科担任制
  • 業務支援員の配置
  • 主任手当や管理職手当の額の改善
あや

これだけ?と思ってしまいましたが…

教師のバトンの炎上がきっかけとなり、教育政策の見直しが進むことに期待したいです。(期待し続けて5年くらい経っていますが…)

教員のモチベーションへの影響

教師のバトンの炎上は教員のモチベーションに大きな影響を与えています。

教員たちは自分たちの声が軽視されたと感じ、不満や失望感を感じずにはいられません。

多くの教員がSNSで「やる気を失った」と発言しており、これが教育現場全体のモチベーションの低下につながっています。

教員のモチベーションを回復させるためには、労働環境の改善意外に方法はないでしょう。

教員の労働環境の改善に向けて

教師のバトンの炎上を教訓に、教育現場の改善策を考えることが求められます。

教員の声が反映される仕組みや、労働環境の改善がなされなければ、同じような問題が起こるでしょう。

労働時間の短縮や精神的なケア、問題を一人で抱え込まなくてもすむような制度づくりはもはや絶対条件と言えるでしょう。

教育現場の実情に即した改善策を早急に実行することが求められています。

あや

そのために「教師のバトン」は最適な材料だと思うのですが…

「#教師のバトン」炎上を受け、社会へ伝えたいこと

教育現場を支えるためにできること

教育現場を支えるために、社会全体での支援が必要です。

教員の労働環境が改善されなければ、教育の質も向上しません。

一般市民ができることとしては、教員の働き方に理解を示し、求めすぎないことだと思います。

自分は昔、先生にこんなひどいことをされた!

あや

今の先生は人権教育もしているので、昔の先生とは違います。

私はもう卒業したし、子どももいないから教育制度なんで関係ないよ。

あや

違う。教育は日本の未来を育てることです。未来の日本が今の教育にゆだねられているのです。

社会の意識を変えることは難しいけど、だからと言って何もしないと、当然、何も変わりません。

教育に対する正しい理解が重要

社会の教育に対する正しい理解が、教員の労働環境改善に直結します。

教員が適切な労働環境で働けることは、子どもたちの教育にとってもプラスになります。

「#教師のバトン」の炎上を通じて、教育の現場がいかに過酷であるかが浮き彫りになりましたが、それに対する正しい理解が広まることが求められているのです。

教員としての声を社会に届ける方法

教員の声を社会に届けるための具体的な方法を考えたいものです。

教員の声が社会に届くことで、少しずつでも労働環境が改善するかも知れません。

あや

SNSを活用した意見発信や、教員の声を集めるなど、みんなで行動しましょう!

教員自身が積極的に声を上げ、社会全体に訴えていくことが大切です。

私が日刊SPA!様の力を借りて書いた記事は、どれも投稿後すぐにヤフーニュースに入り、多くの人から読んでもらえています。

一晩でヤフコメが780件近くついた記事もあります。

(参考:教員の給料を時給換算してみたら“驚きの結果”に。勤続年数によって「最低賃金を下回る」場合も

コメントの多くは現役教員からいただいたものですが、保護者や一般の人からのコメントもありました。

つまり、教員だけでなく、社会全体でも教員の労働環境についての関心は高いということです。

教員だけでなく、保護者や一般の人たちの力も借りて、これからも教員の労働環境の改善を訴えていくつもりです。

まとめ

  • 「教師のバトン」には教育現場のリアルな声が集まっている
  • 現場の声が待遇改善につながらず「教師のバトン」は炎上した
  • 教員の労働環境を改善するために、声をあげつづけよう

個別の無料相談も受け付けています。お問い合わせフォームXのDMまでどうぞ。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

勤続10年の元小学校教員/結婚を機に退職/民間企業人事部に転職/転職サイトに登録し内定5つ獲得/会社員・副業ブロガー・Webライターの三刀流/教員の転職・副業・働き方改革について発信しています/がんばる先生を幸せにする人

目次